入籍前に思い出を作ろう、と言うことで夫と熊本へ行きました。
プランは全て夫の考案。私は旅の予定を何も知らずに同行。普段なら自分で全て把握していないと不安なのですが、夫は元旅行会社の添乗員。培われたプロのノウハウに期待です。
阿蘇ファームランド
最初に向かったのは阿蘇ファームランド。健康の大切さや素晴らしさをさまざまな体験を通して知ってもらう事が目的の、健康増進パークだそうです。園内は各エリアと体験ごとに料金が違うので、好きな組み合わせをチョイスすることができる。健康がテーマといえど、動物とふれあえるコーナーがあったり、レストランやお土産屋さんがあったりして、ゆるく楽しめる雰囲気の施設です。
私たちはふれあい動物園のエリアと、ドクターフィッシュの体験コーナーへ行った。ふれあい動物園は、ほとんどの動物が放し飼いになっていて楽しい。寒い時期だったからか、みんなじっとしていた。
私がいちばん心を奪われたのはイグアナです。陽の光を浴びながら、置物みたいにどっしりと存在していました。
ずっとやってみたかったドクターフィッシュ。入り口で足を洗って、足湯の前まで案内されると「通常サイズのお魚と、小さいお魚をお選びいただけます。くすぐったいのが苦手な人は小さい方がおすすめです。」とのこと。大きい方が角質を食べられる時の感覚も大きいらしい。2人ともかなりのくすぐったがりだが、せっかくなので通常サイズで体験してみることにした。
「お魚がびっくりしちゃうので、ゆっくり足をつけてくださいね〜」
水面に足を近づけたら魚がふよふよと寄ってくる。指先をちょこっと浸けただけで数匹が皮膚に吸い付き、あまりのくすぐったさに奇声を上げながら一旦足を引っ込める。体験は15分間と決まっていて、時間になると強制終了してしまう。なるべく時間いっぱい角質を食べてもらわないと…!頑張って足の甲まで浸けたけどやっぱり我慢できず、ザパッと勢いよく足を上げてしまった。お魚さんたち本当にごめん。
それでも何回か我慢するうちに慣れてきて、最終的にはしっかりふくらはぎまで浸けられるようになりました。ドクターフィッシュは37℃程度の高温でも生息できる珍しい魚らしい。ぬるま湯が気持ちよかった。
特に魚が集中したのが指の間と踵。食べられる角質がなくなると、吸い付く魚の数もだんだんと減って刺激もゆるやかになっていきます。新たなエサを求めて私の足から夫の足に魚が流れて行っていたのは笑った。
くすぐったさに笑いすぎて腹筋にうっすら疲労を感じつつ、足はスッキリ。お魚さんたちもお腹いっぱいになったことでしょう。
山見茶屋(お昼ご飯)
お昼ご飯は熊本名物の赤牛を食べに山見茶屋へ。熊本の郷土料理が揃っていたので、色々頼んで2人でシェアすることにした。
テーブルの真ん中には囲炉裏があり、田楽とヤマメの塩焼きを注文するとそこで焼いてくれた。ヤマメは火に炙られてもまだピチピチと動いていてびっくり。動かなくなるまで2人でじっと見入ってしまった。
自家製の高菜を使った、たかなめし。お土産に高菜も買って家で作ったけど、この味にはやっぱりならなかった。
看板メニューのあか牛セリ勝つ重は、お重にあか牛のカツがぎっしりと敷き詰められていてボリューム満点。赤身の強いお肉は苦手なのですが、ひと口食べた瞬間に感動!今まで食べてきた赤身のお肉と全然違う。濃厚だけど油がしつこくなくて、柔らかいお肉とサクサクの衣がご飯によく合う。箸が止まらず、気がついたらどんどん口に運んでいました。
少食でいつもはあまり食べない私が黙々とあか牛を食べている姿を見て「相当気に入ったんやね」と嬉しそうな夫。焼きたてのヤマメとお味噌たっぷりの里いもの田楽も最高でした。
私たちが行ったのは高森本店。山の上のほうにお店があり、雄大な熊本の大地を眺めながら頂いたお料理は本当にどれも美味しかった。温もりのある落ち着いたお店の雰囲気や、澄んだ空気も相まってすごく満たされました。
花風月
今回お世話になったのは花風月という隠れ家旅館。森の中にひっそりと佇んでいて、全室内湯露天風呂付き、オトナ限定のかなりVIPなお宿です。
感じの良い仲居さんに案内されてチェックイン。受付のロビーには暖炉があって、薪がぱちぱちと燃える音が心地よかった。
全客室が離れということもあり、ロビーからお部屋までは少し距離があった。部屋へと続く道は森や川の音、鳥のさえずりが聞こえる。
私たちが宿泊したのは最上ランクの四季彩というお部屋。懐かしい田舎の古民家のような雰囲気なのに品があり、絶妙な和洋折衷がとても素敵だった。和室が2部屋と広縁、テラス、専用食事処に内風呂と露天風呂まで付いている豪華な間取り。トイレを探して迷うほど広かった。
とりあえずテラスの椅子に座ってゆらゆら揺れてみる。時期的に森に緑は少なかったが、それでも風情があった。他にもマッサージチェアや、人をダメにするクッション、こたつに畳と、とにかく体と心が安らぐ空間しか存在していない。テレビが大きすぎて、逆にどこにあるのか分からなかったのはおかしかった。
内風呂の床には畳が敷いてあり、足が冷たくないし柔らかくて気持ちが良かった。湯船は部屋のお風呂とは思えないくらいの広さで、お手入れが大変そうだなぁ。なんて考えてしまう私はいつまでも庶民的。
露天風呂は、本当に森の中にぽつんと湯が沸いた穴に入っているかのような感覚で、一緒に森林浴もしている気分だった。
食事室には仲居さん専用の入り口があり、そこを通って料理を運んできてくれる。夕食時間になって部屋に入るとすでにお料理が並んでいて、着席するとお料理や素材の説明を丁寧にしてくださった。
公式サイトには「飾り気の少ない素朴な山里料理ですが」と書いてあったが、運ばれてくるお料理はどれもきらきら輝いて見えた。地元の食材を味わって欲しい、という想いがとても伝わってくる。お米まで自家精米なのは流石にびっくりした。
箸袋に折り紙でできた小さい鶴が付いていた。夫と、これって手作りかな?既製品かな?などと思考を巡らせたのち、勇気を出して聞いてみた。
「私ではないのですが、うちのスタッフが手作りしています。」まさかとは思ったが、凄すぎる。仲居さんと話した時間を思い出したくて、潰れないように持って帰った。
しかし、こんなに長いお品書きは結婚式の披露宴くらいでしか見たことがない。かなりの品数があって、夫でも最後まで食べるのに一生懸命だった。
私は途中で広縁のクッションで横になって休憩したりして、なんとか胃に収めたい…!と頑張ったけれど、ギブアップしてしまった。お肉食べたかった…。
部屋のお風呂以外にも滝見の湯という大浴場があり、通常は男女別だけど、感染症の影響で家族風呂として予約制の入浴になっていた。食後の眠気とお酒の酔いで2人ともふらふら状態だったけど、なんとか入りに行った。
その名の通り滝が見える露天風呂は、夜でもライトアップされていたので明るい。よく見たら雨と雪が混じったような粒が降っていた。思いがけず雪見風呂を楽しむことができてほっこり。寒い時期だからこそ、温泉の湯が身に沁みる。
せっかく温まったぽかぽかの体を冷やさないよう、急いで部屋に戻ってこたつに滑り込んだ。
それから殿様みたいな背景のベッドで眠り、1日目は終了。
起きてから、もう一度内風呂に入る。早朝の、澄んだ山の空気と温泉。体が芯から目覚めていきます。
朝ごはんもとっても豪勢。たくさん並べられたお料理達を目の前に(食べられるかな…)と、昨日の晩御飯をまだ消化しきれていないお腹を心配。でも、炊き上がったほかほかご飯が釜からおひつに移されていく様子を見て、少しずつ食欲が湧いてくる。
朝から炊き立てのご飯を食べるのって、お宿に泊まった時くらい。そういう部分も贅沢に感じる理由のひとつかも。
こうゆう食卓に憧れて小鉢みたいなお皿をたくさん集めるんだけど、結局家では再現できないんだよなぁ。とりあえず冷奴を入れて楽しむくらいしかしてない。でも可愛いのを見つけたらつい買ってしまう。
貴族みたいな盛り付けのフルーツに心踊らせながらも、デザートのプチケーキまでは手が伸びず。
最後まで他の宿泊者と一度も顔を合わせることなくチェックアウト。受付の後ろのスペースに佇む大きなくまモンを見ながら余韻に浸っていたら、「お写真、良かったらお撮りします。」と記念撮影してくれた。
それからお土産に焼きたてのクロワッサンまでいただいた。こんなにも丁寧に尽くされてしまったら、この仲居さん達との別れが名残惜しくなってしまう。そのくらい、気持ちのこもったおもてなしをしていただきました。お部屋やロケーションだけでなく、お世話をしてくださった皆さんが本当に素敵でした。
黒川温泉
宿を後にして向かったのは黒川温泉。三十軒の宿と里山の風景すべてを、「一つの旅館」として築き上げてられている温泉街で、とってものどかだった。
お宿の仲居さんに黒川温泉へ行くことを話したら、おすすめのお店をいくつか教えてくださった。その中でも絶対に行きたいと思ったのが、とうふ吉祥(きっしょう)。ここの吉祥揚げがどうしても買いたかった。吉祥揚げはとうふ吉祥の人気商品で、さくさくふわふわの食感が最高の油揚げ。お宿の夜御飯でいただいてからそのおいしさが忘れられず、お土産に買って帰ろうと決めていた。
お店はこだわりのお豆腐料理が楽しめる食事処で、テイクアウトもできるみたい。飲食スペースの横に販売所があり、お目当ての吉祥揚げもそこでゲット。
平野台展望所
吉祥揚げを手にぶら下げて歩いていたら、道ゆくおじいさんに「お車でお越しです?」と急に聞かれた。いきなり話しかけられて不思議に思いつつ、そうですと答えたら「近くにガソリンスタンドがあるでしょう?そこをまっすぐ行ってトンネルを抜けたら、左、右、左、右、と道を曲がって、少し登ったら阿蘇山が綺麗に見えるところがあるんよ。今日は天気がええから、よー見えますよ。」
最後まで聞いてようやく意図がわかった。私たちにおすすめスポットを紹介してくれたみたい。おじいさんにお礼を言って別れた後、夫が「必殺技のコマンドみたいだった」って呟いたのが面白かった。(10,20代の方にこの意味が伝わるのでしょうか…)
せっかくだから行ってみよう、と好奇心に駆られるまま温泉街を出てみたら、確かにガソリンスタンドがあった。「この道を行ってトンネルがあったら本物だね。」と言いつつ車を走らせた先にはトンネルが。おお!本当にあった!と2人でちょっと興奮。
調べてみたら近くに平野台展望所というところがある。道が左右にうねうねしていたので、多分ここ。車どころか、ひとっ子ひとりいない山道をぐんぐん上がっていく。
どんな場所なんだろうかと不安になっていたら、突然開けた場所に出た。さっきまで背の高い草が生い茂る細道だったのに展望台に着いた途端、右も左も山に囲まれた大パノラマに。どこまでも広がる豊かな自然に圧倒されました。
阿蘇五岳を一望できる、最高のロケーション。隠れた名所らしく、私たちと別に夫婦が一組いたくらい。ゆっくり景色を楽しめました。
それから山を降りようとしたら、車が何台か登って来ていた。同じようにあのおじいさんに教えてもらった人たちかもしれない。来た道を戻りながら夫にそう話したら、「本当に行くとは思わなかった。」と驚きの発言。
若い子はあんなふうに突然言われても流して終わりなんじゃない?とのこと。たしかにすれ違った車に乗っていたのは中年の方達ばかりだった。そうなのかなあ。
千羽鶴鹿公園
道路の脇に生えていた、巨大な鶴のオブジェ。気になって車を停めて近くまで見に行ったら、木でできた鶴の大群が所狭しと並んでいる。マップで調べたら「千羽鶴鹿公園」とあった。よく見たら鶴以外の動物も模ってある。
オブジェはぐるっと大きな円を描くように配置されていた。一周したら結構な距離がありそうだったので、散策はやめておいた。
なんの説明もなく、ただ大量にオブジェが生えている。鹿もいたし、謎のエリアだった。
大観峰展望所
元々行くことを予定していた展望所は、この大観峰の方でした。有名な観光スポットで、バイクでツーリングに来ている人もいっぱいいた。こちらも350度のパノラマで阿蘇の街並みや自然を一望できる場所です。
風がかなり強くて、寒さに震えながら展望スポットまで歩いた。髪が乱れ過ぎて映えるツーショットは撮れなかったけど、景色は最高にきれいでした。
お土産屋さんやフードコートも充実していたので、休憩にはちょうどいい場所。
のんびり山暮らし
広大な自然でのびのび育った人やその他の生き物、食べ物、草木達は、私の心をとても癒してくれました。全てがクリアで、素朴で、それが素敵だと感じさせてくれるゆったりとした空気。山でのんびり暮らすのっていいなあと、老後の計画にひとつプランが加わりました。
車を走らせている道中、民家と思われるところに牛が普通に飼育されていてびっくりした。牛を飼うなんてそれこそ田舎暮らしの醍醐味だけれど、これがあの美味しい赤牛になるのか…と思うと飼育は無理かもしれない。
山の上は空気がとっても澄んでいて、視力が上がったんじゃないかと錯覚するくらいに景色が鮮やか。季節は冬なのに、緑がきれいだった。福岡に帰ってきて、都会の空気だなぁと、いつもの彩度に戻る。
熊本県内ならくまモンがどこにでもいると思っていたけど意外と出会えず、見つけたら「あっ、くまモンだ!」とファンでもないのについ写真を撮っていた。そこまで熊本を支配しているわけではないみたい。
時期:2月下旬
交通手段:車
旅で遣ったお金
・ふれあい動物王国 1人900円
・ドクターフィッシュ 1人1,080円
・山見茶屋(お昼ご飯) 2人分合計 3,900円
・花風月(宿泊費) 一部屋60,650円 ~(※2023年の価格です)
・その他お土産代(忘れちゃいました…)