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友情と仕事のバランス難易度=EXTRAS - ぽんず日記

エッセイ

友情と仕事のバランス難易度=EXTRAS

2025.2.6

「ねえ、ロゴとかショップカード作るのって、どのくらいかかる?」

友人のすみれさんが、少し遠慮がちに聞いてきた。

彼女はとあるハンドメイドの作家さんで、ネットショップで作品を販売している。

私はフリーのデザイナーだから、頼りたくなったんだろう。

しかし私は知っている。

友情と仕事を同時に扱うのは、サーカスで火の輪くぐりをするくらい難しいことだって。

火の輪くぐりどころか前転も上手くできるか怪しい私。

アクロバット初心者には普通に無理です。

 

過去のトラウマがよみがえる

すみれさんにお願いされた瞬間、過去に一緒に仕事をした人達がフラッシュバックした。

1人目はJちゃん。

Jちゃんは、明るくて気さくで、人懐っこさに定評のある女性だ。

が、仕事ではその天真爛漫さがあらぬ方向に暴走して迷惑を被ることがある。

「ちょっとこの書類を書いといて欲しいんだけど、どっちか頼める?」

上司から白羽の矢を立てられた私とJちゃん。

「Sさんの方が字が綺麗です!」

意気揚々と上司にいらんことを言うJちゃん。

おいおいおいお〜い。

褒めると見せかけてさらっと私の仕事を増やすなYo!

ニコニコ笑顔で悪気なさそうな表情。

キラキラした目でこっちを見るんじゃない。

字が綺麗って、アピールしてあげましたよ!

みたいな顔をするな。

好感度あがってないぞ〜。

ギャルゲなら選択肢ミスってバッドエンドに向かうやつだからね。

 

そんな調子だから、私だけが気をもみ続け、ストレスが毎日コツコツと順調に蓄積。

キーボードをたたく音もそりゃ大きくなります。

悪気がないのでタチが悪い。

攻めるとこちらが悪者になってしまう。

 

でも、不思議なことに、仕事が終わってしまえばそのストレスも消滅。

友達として一緒にいるのはめちゃくちゃ楽しいのだ。

まるでお化け屋敷みたい。

入ってる最中は怖いけど、出た後「あれ、楽しかったかも?」って思っちゃうやつ。

お化け屋敷行ったことないんですけどね。

 

2人目はOさんという強キャラ。

彼女はとにかく優秀。

私なんて足元にも及ばないくらい稼いでるし、

感覚的に仕事を進める「天才肌」タイプ。

一方で私は何事も“まず仕様書をチェックしてから”で動く、

石橋を叩きすぎたあげく「別ルートで行かない?」と提案する派。

その仕様、最初に言ってよ…!と何度思ったことか。

それでも最終的にはOさんの仕事は完璧に見えるし評価もされるし

なんだかなぁ。といつも納得がいかなかった。

Oさんには何の罪もないんだけど。

 

AIツールに逃げる私

そんなトラウマ満載の思い出を抱えて、私はすみれさんに言ってみた。

「今はAIツールを使えば、誰でもそれっぽいデザインが作れるよ!」

要するに、やんわりと断りたかったのだ。

でも、伝えたことも嘘ではない。

最近は無料で誰でも簡単にデザインができちゃうAIツールがたくさんある。

わざわざ私にお金を払って作る必要はない。

私の浅はかな作戦に全く気が付かないすみれさんは

「そうなんだ!すごいね!やってみる!」

と素直に感心した様子。

思惑通りの反応なのに、ちょっと心が痛む。

若干の罪悪感に見舞われていたのも束の間、

「でも、どうせなら大好きなSちゃんに作ってもらいたいな。」

逃げ道が崩壊。

こんなに純粋な好意を向けられることって滅多にない。

反則にも程がある。

破壊力がえげつない。罪悪感メーターがフルチャージしたよね。

ひねくれものな私は、どストレートな好意に激弱なのです。

 

結局のところ

それでも、私には過去の教訓がある。

「まあまずはAIで作ってみてさ、自分の中にないアイデアが欲しいと思ったら私を頼ったらいいよ。」

結局、こう言うのが精一杯だった。

突き放したわけじゃない。でも、深入りもできない。

サポートしたい気持ちと、関係を壊したくない気持ち。

友情と仕事のバランスって難易度マジでExtras。

 

とりあえず今は、火の輪はくぐらずに済んだみたい。

いつかくぐらないといけない日が来てしまうかもしれないけど

その時までに準備運動くらいはしておこうかな。

前転くらいはできるかも。

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