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エッセイ

8,000円の白Tシャツ

2026.11.6

夫はよく「元は取れた」と言う。

服がくたびれて着られなくなったり、家電が壊れて処分したりするときに、この言葉が出る。

 

いくらで買って、どのくらい使ったか。いわば減価償却のような考え方だ。

何かを買うときも、それを何のために、どのくらい使うのかを念頭に、いくらまで出せるかを検討する。

 

例えば、仕事で使うリュック。

長く使うことが想定される。

 

今使っている夫のリュックは3万円、一方私は1万円。

私も、いいものを買って長持ちさせたいとは思う。

 

ただ、それ以上に「今いくら出せるか?」

「収入に見合った支出か?」を考える派なのだ。

 

もちろん、夫もめちゃくちゃなお金の使い方をするわけではない。

ちゃんと計画性はある。

ただ、一度に使えるお金の限度が、私より高いのである。

 

以前、夫が8,000円もする白Tシャツを買ったことがある。

私は心の中で「8,000円? Tシャツに?」と思ったが、

本人は大変気に入っている様子。

 

「大事に着なくちゃ♪」とご機嫌だったので、何も言わなかった。

 

ちなみに、夫はご飯を食べるときによくこぼす。

自宅でも外食でも、とにかくポロポロとこぼして服を汚す。

 

家でカレーを食べるときなんて、こぼすからという理由で上半身裸になったりする。

そんなおこぼし大魔王が、白Tに8,000円。

 

怖すぎる。

 

まあでも、確かに生地はしっかりしていて、着心地もよさそう。

値段の意味もわかる。

何にお金をかけるかは人それぞれだし、口出しはすまい。

 

そうやって温かく見守っていた矢先、さっそく汚していた。

 

えええ。

 

「まだ2回くらいしか着てないのに……」と、

しょんぼりしながらシミを見つめている。

どこでついた汚れなのかも、わからないらしい。

 

可哀想に、と同情する反面、だから白Tに8,000円なんて富豪の買い物だったんだよ……! とも思った。

 

最近、あちこちで見かける地域限定の「〇〇Pay」。

いわゆるプレミアム付き商品券というやつで、私たちの住む地域でも販売されていた。

 

一口5,000円で、1人最大3万円まで購入できる。5,000円買うと1,000円分お得になる仕組みなので、3万円分買えば、なんと6,000円もお得になる。

 

このことで、私と夫は少し揉めた。

私は、いくらお得になるからといって、一度に3万円の出費は嫌だと主張。

 

しかし夫は、「スーパーでも使えるし、どうせ生活費になるんだから、6,000円もらえた方が絶対お得!」と譲らない。

 

私は納得できなかったのだが、夫がどうしてもと言うので、「じゃあ、あなただけ買って」と、話し合いは終息した。

 

そもそも私は、チャージして使う系のお金が苦手なのだ。

あらかじめまとまった金額を入れておいて、買い物をするたびに残高が減っていく。

あの感覚が好きになれない。

 

しかも、今回の地域Payには使用期限がある。

3万円は確かにスーパーで使えば食費として消費できる金額ではあるんだけど、どうにも気が進まない。

 

6,000円もお得になるのだから、夫の言い分もよくわかる。

でも、一度に3万円が出ていくことにも抵抗があるし、使用期限を気にしながら買い物をするのも落ち着かない。

 

得をするためにお金を使っているはずなのに、なんだかお金に急かされているような気がする。

理屈はわかる。でも、なんかこう、嫌なのである。

 

夫は、最終的にどれだけ得をするかを考える。

私は、今あるお金をどう使うかを考える。

 

どちらが正解というわけでもないのだけれど、こういう価値観の違いは、なかなか折り合いがつきにくくて困る。

 

いっそ、こんなことで悩まなくていいくらい、お金持ちになれたらいいんですけどね。

そしたら8,000円の白Tシャツなんて、何百枚でも買ってあげるのに。

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#夫婦

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