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ホワイトニング目的で歯医者に行ったら人生を見直すことになった〜治療編〜 - ぽんず日記

ライフスタイル

ホワイトニング目的で歯医者に行ったら人生を見直すことになった〜治療編〜

2025.9.9

前回の〜序章〜では、数年ぶりに歯医者へ行ったらとんでもない数の虫歯が発見されて治療生活がスタートした話を書いた。

ホワイトニング目的で歯医者に行ったら人生を見直すことになった〜序章〜

今回はその治療中に起こった、私と歯の愛の劇場をお届けしたい。

 

 

私の虫歯はどれもなかなか深くて、治療は「削る → 型を取る → 詰め物や被せ物を入れる」という工程を、一本ずつ順番にこなしていくスタイルだった。

 

型を取ってから詰め物が出来上がるまでには1週間ほどかかるので、その間は仮歯をはめて過ごすことになる。

 

仮歯を入れている間も、食事や歯磨きは特に問題なかった。

 

「人間って、仮のパーツでもここまで順応できるのか」と、自分の適応能力の高さに軽く感動すらしていた。(大げさ)

 

それが崩れたのは、晩御飯のちくわの磯辺揚げである。

青のりの香りに惹かれ、なんの気なしにひと口かじった瞬間、違和感が走った。

舌が探知したのは、“あるはずのものがない”という、極めて不穏な感触。

 

……え? 歯、どこ?

 

急いで洗面台に走り、鏡をのぞく。

歯、ない。やっぱりない。なんの予告もなく撤退してる。

治療中の歯(仮)から治療中の歯(無)になっている。

 

青のりが歯にくっつくどころの騒ぎではない。

そもそも歯がいない。青のりがまとわりつく対象が、いない。

 

ぽっかり空いた歯のスペースを見ながら、私はちくわを見つめる。

穴、空いてる。

私の歯にも、穴、空いてる。

仲間だな、と思った。

 

いやいやちくわにシンパシー感じてる場合ではない。

これ、仮歯だったわ。返却予定ありのやつ。

 

あわててGoogleで「仮歯 ない 飲み込んだ」と検索。

 

検索結果の上位に出てきた「仮歯を飲み込んでしまったのですが、どうしたらいいですか?」というタイトルの記事を、震える指でタップ。

 

……ふむ。

どうやら仮歯を飲み込んでしまっても、人体には特に影響はないらしい。

そのまま腸を旅して、数日後には便として出てくるとのこと。

 

Foooooooooo!!!

 

突如として込み上げた安堵の雄叫び。

乱れた呼吸と動揺した内臓を、なんとか通常運転に戻す。

 

自分の消化器官の優秀さを初めて讃えた日だった。

 

とはいえ、飲んだままにしておくわけにもいかない。

これは“仮”なのだ。いずれ“本物”を迎えるための、仮の存在。

 

すぐさま歯医者に電話し、事情を説明。

「仮歯、なくしました。多分、体内に。」

 

スタッフさんは驚くでもなく、笑うでもなく、

「あ、大丈夫ですよ。では、また仮歯つけにいらしてくださいね」と、

いつものテンションでテキパキと対応してくれた。

 

こちらは人生初の“歯を飲む”というパニックを迎えていたのに、

なんだか私だけが大げさでちょっと気まずい。

 

後日、新たな歯を装着してもらった。

今回は仮歯ではなく、本番の歯だ。

 

今まで、歯にそこまで愛着なんてなかった。

(だからあんなに虫歯を量産したのだろう)

けれど、いなくなってみて初めて気づく。

なんて大切な存在だったんだ、と。

 

今まで散々ぞんざいに扱ってごめん。

もう二度と、離さない。

 

――そう心に誓った、次の日のことである。

固く誓った愛は、思っていたよりあっさりと崩れ去った。

 

ポロリと、取れる歯。

もう……なんなんだよ(泣)

 

ホロリと流れる心の涙。

ぽっかり空いたのは、歯のスペースだけじゃなかった。

私の心も、ちゃんと埋めてほしい。

 

 

3度目の正直。

今度こそ、本物の愛を掴み取る……っ!

そう意気込んで臨んだ再装着。

先生からは申し訳なさそうにこう言われた。

「削った部分の引っ掛かりが浅くて、何度も取れてしまったみたいで…すみません。」

 

……なるほど。

つまり、私と歯の間に必要だったのは、もう少し深い“溝”だったということか。

 

愛とは、しっかり噛み合うための“ひっかかり”が必要で。

私たちはきっと、最初からお互いの距離感を見誤っていた。

 

軽く触れ合っただけで、信じたふりをして。

一度ついたと思ったら、またすぐに離れていって。

 

これまでの別れは、そういうことだったのかもしれない。

 

さらに先生は続けた。

「素材を変えたので、次は絶対取れません!」

頼もしい。信じたい。だけど――

じゃあ、最初につけてもらったあの素材は一体なんだったんですか?

なぜ最初から“絶対取れない素材”を使ってくれなかったんですか?

ていうか、今まで治療してきた他の歯の素材って、何だったんですかあああ!?

 

心の中では叫んでいたけれど、治療中の口はずっと開いたまま。

思いは喉元まで来ていたのに、器具をくわえたままではどうにもならない。

 

素材についての説明をちゃんと聞いてなかった私にも非がある。

あるけれど、あるけれど……!

この口、こんなに開けてるのに、言いたいことは何ひとつ言えない。

 

そんなもどかしさを胸に秘めたまま、治療は終了。

この記事を書いている今、その歯はおとなしく収まっている。

 

まさか歯がこんなにも出戻り上手だったとは。

3度目にしてようやく噛み合った共存関係。

これが最後の別れ話になりますように。

 

次なるステージは、ついに本丸——抜歯、歯科矯正、そしてホワイトニングなるか!?

歯との長い戦い、まだまだ続く…!

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#歯医者

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